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漢点字講習用テキスト
初級編 第25回
    4  基本文字(3)… 比較文字

 3.長さ、重さ、容積の単位を表す比較文字(承前)

 (33)  斤   キン コン  おの
 木を切ったり割ったりするときに使う道具「おの」の刃を象った文字です。その刃を重りにして、ものの重さを計ったことから、重さの単位を表すようになりました。一斤は百六十匁で、約六〇〇グラムです。現在では、食パンを販売するときの大きさとして馴染んでいます。この文字は、部首の「おのづくり」として、他の多くの文字に含まれています。漢点字では、「 」で表されます。
 「斤量」「食パン一斤」

 (34)  屯   トン  たむろ‐する
 植物が地中に根を張って、今にも芽を出そうとしている所を象った文字と言われます。地中にエネルギーが漲っている様子を表しています。たむろする≠ニ読んで、人が沢山集まって、がやがやと騒がしい様子に用いられます。兵隊を集めて治安に当てることを駐屯≠ニ言い、その場所を屯所≠ニ言います。また、明治時代の北海道に、国の防備と開拓を目的に置かれたのが屯田兵≠ナした。この文字は、重さの単位を表すものではありませんが、メートル法のトン≠意味する漢字「噸 」の中に含まれていますので、〈比較文字〉に加えられました。漢点字では、「 」で表されます。
 「屯所」「屯営」「屯田兵」「駐屯」

 ※容積の単位を表す比較文字。
 (35)  升   ショウ  ます
 穀物や液体を入れたマスを、手で持って上に上げて、分量を量る様子を表す文字です。マス≠意味するとともに、その容積の単位をも表します。一升は約一.八リットル、一合の十倍に当たります。漢点字では、「 」で表されます。
 「一升瓶」「一升桝」

 (36)  斗   ト  ひしゃく
 柄のついたヒシャクを象った文字です。ヒシャクで穀物や液体の容量を量ることから、容積の単位に用いられるようになりました。一斗は約一八リットル、一升の十倍に当たります。また、ヒシャクの形から、星座の名にも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。
 「一斗缶」「五斗米」「北斗七星」

 (37)  勺   シャク セキ  く‐む
 「つつみがまえ」(後の包の項でご紹介します)の中に点を入れた形の文字です。ヒシャクで、酒や汁を汲み取る形を象っています。くむ≠フ読みは、そこから生じました。しゃく、せき≠ヘ、容積の単位、一合の十分の一、一升の百分の一で、約一八ミリリットルです。他にも面積の単位として、一坪の百分の一、登山の路程の百分の一、一合の十分の一の意味があります。漢点字では、「 」で表されます。「」は、「門構え」とともに、「つつみがまえ」として用いられます。
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