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漢点字講習用テキスト
初級編 第17回


    3  複合文字 (1)

 6.漢数字および第一基本文字を部首とした文字 (6)

 ※「由 、曲 」を部首として含む文字一つずつ。
 (103)  油   ユ ユウ  あぶら
 「さんずい」の右側に「由 」を置いた形の文字です。「由 」は、口の細い壷を象った文字で、「油 」は、その口からたらたらと流れ出す液体を表しています。たらたらと流れ出ることから、液体のあぶら≠フ意味に用いられるようになりました。漢点字では、「 (由)」と「 (さんずい)」で表されます。左右が逆になって、さらに第二さんずいを採用しました。
 「油田」「油井」「油脂」「油性塗料」「石油」「醤油」「機械油」「椿油」「鬢付け油」

 (104)  典   テン  のり
 「曲 」の下に「八 」を置いた形の文字です。「曲 」の形は、古代の中国で作られていた竹簡を束ねた書物を象っていて、分厚い、重厚な書物を意味しています。下の「八 」の形は、その書物を載せている台です。古典の教え、基準となる原則を表す文字です。漢点字では、「 (曲)」と「 (八)」で表されます。
 「典型」「典拠」「辞典」「式典」「楽典」

 ※「心」が下に付く文字二つ。
 *これまでに、「想 ・恋 ・思 」と、「心」が下に付く文字が三つ出て来ました。このように下に付く「心」を、下心≠ニ呼びます。立心偏と同様に、心の働きを表す文字です。
 (105)  悪   アク オ  わる‐い にく‐む わる
 「亜 」の下に「心」が置かれた形の文字です。「亜 」は、下に押し下げられた形を表していて、ここでは「心」を押さえつけられた形、欲求不満な気持ちを表す文字です。そこからわるい、にくむ≠ニいう意味が生じました。また、漢文を読み下した場合、いずくにか≠ニ読んで、どこに?≠ニ疑問の副詞に、いずくんぞ≠ニ読んで、どうして?≠ニ、反問の副詞に解します。漢点字では、「 (亜)」と「 (心)」で表されます。
 「悪人」「悪意」「悪心」「悪事」「悪行」「険悪」「好悪」「嫌悪」「憎悪」「悪者」「悪さ」「」意地悪」

 (106)  応   オウ  こた‐える
 「广」の下に「心」が置かれた形の文字です。胸でしっかり受け止める形を表していると言われます。相手の働きかけを受け止めて、それに応えること、求めに応じること、また、手応えがある、ある行為に対しての報いが来るという意味もあります。漢文を読み下した場合、「まさに…すべし」と読んで、当然…すべきである、…であるはずだと解されます。漢点字では、「 (广)」と「 (心)」で表されます。
 *この文字は、熟語をなすとき、前の語が撥音(ん)で終わる場合、音が「ノウ」となります。
 「応答」「応対」「応接」「応諾」「応援」「応募」「応分」「応報」「応用化学」「応急手当」「対応」「反応」「感応」「手応え」

 ※「系」を部首として含む文字二つ。
 (107)  係   ケイ  かか‐る かかり
 「人偏」の右側に「系」を置いた形の文字です。「系」と同様、ものごとが繋がる意味、人の繋がり、関わりの意味を表します。また、かかり≠ニ読んで、ある仕事の担当者を指します。漢点字では、「 (人偏)」と「 (系)」で表されます。
 「係争」「係数」「関係」「係助詞」「係長」「庶務係」

 (108)  孫   ソン  まご
 「子」の右側に「系」を置いた形の文字です。血の繋がった子孫を意味しますが、一般には二代下った子孫を言います。部首の「系」は、その繋がりを表しています。漢点字では、「 (子)」と「 (系)」で表されます。
 「子孫」「曾孫」

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