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漢点字講習用テキスト
初級編 第15回


    3  複合文字 (1)

 4.漢数字および第一基本文字を部首とした文字 (6)

 ※ 「口」を部首として含む文字。
 (84) 答   トウ  こたえ こた‐える
 「竹冠」の下に「合 」を置いた形の文字です。竹でできたフタが、容器にぴたりと合っていることを表していると言われます。そこから、相手の問いに対するこたえ≠フ意味が生じました。相手に対する返事、質問に対する答え、計算や問題の答えを意味します。漢点字では、「(竹冠)」と「(合 )」で表されます。
 「答案」「解答」「回答」「応答」「返答」「ご名答」

 ・「員 」と、それを部首として含む文字一つ。
 (85) 員   イン エン
 「口」の下に「貝」の置かれた形の文字です。元は、カナエの周りを丸く取り囲んだ形から始まったもので、まるい≠ニいう意味が含まれています。現在では、人の数、ある枠内にいる人という意味で用いられます。また、一定の幅の意味も表します。漢点字では上下を逆にして、「(貝)」と「(口)」で表されます。
 「員数」「人員」「会員」「社員」「店員」「定員」「団員」「乗員」「復員軍人」「幅員」

 (86) 損   ソン  そこ‐なう そこ‐ねる
 「手偏」の右側に「員 」を置いた形の文字です。「員 」は、丸い形を意味して、丸い穴を表します。そこから、ものがなくなる、失われるの意味が生じました。漢点字では、「(手偏)」と「(員)」で表されます。
 「損失」「損害」「損益」「損金」「損傷」「破損」「欠損」「大損」

 ・「史 」と、それを部首として含む文字一つ。
 (87) 史   シ  ふびと ふみ
 横長の「口」に「人」に似た字の上の縦の線を重ねた形の文字です。ただし、「人」に似た字とは、右側の斜めの線が左側の斜めの線と、交差した形をしています。この横長の「口」は、竹の札を束ねて納める容器で、「人」の字に似た形は、それを持っている手を表しています。この文字は、ふびと≠ニ訓読みしますが、天子の側で、コヨミを作ったり、天文による占いを行った官吏のことです。昔は、農業が製産の大部分を占めていましたので、自然の運行を見定めることが、政治の中心だったからです。時代が下って、ふみ≠ニ読むのは、歴史書のことを指します。中国では、一つの王朝の歴史書を編むことが、その国にとって、最も大きな事業でした。ふびと≠ヘ、その編纂にも当たりました。漢点字では、「(口)」と「(人)」で表されます。「人」に似た形を、「人」で表しました。
 「史記」「歴史」「世界史」「日本史」

 (88) 使   シ  つか‐う つか‐い し‐む せし‐む
 「人偏」の右側に「史 」の上の部分に横線を交差させた形の文字です。右側は、「史 」と同様の意味の文字で、役人を表します。天子のツカイのことから、ものを使う、使いにやる、何かをさせる、という意味になりました。漢点字では、「(人偏)」と「(史に横線を交差させた形)」で表されます。「」は、第二人偏です。
 * 「使 」の旁は、「吏 」で、リ≠ニ音読する文字です。意味は、「史 」と同様、役人のことで、官吏、吏員≠ニ用いられます。詳細は中級編でご紹介します。
 「使用」「使役」「大使」「遣唐使」「天使」「使い走り」「お使い物」

 ・「舌 」と、それを部首として含む文字三つ。
 (89) 舌   ゼツ  した
 漢数字の「千 」の下に「口」を置いた形の文字です。この「千 」は、数字ではありません。千の字の形をしていますが、本来は、口の中で動くもの≠ニいう意味を表します。口の中で動くもの、そのシタから発せられる言葉、シタの形をしたもの等々の意味があります。漢点字では上下が逆になって、「(口)」と「(千)」で表されます。
 「舌鋒」「弁舌」「毒舌」「長広舌」「滑舌」「竜舌蘭」「舌鼓」「舌舐り」「舌先三寸」「二枚舌」

 (90) 活   カツ  い‐きる い‐かす い‐ける く‐らす
 「っさんずい」の右側に「舌 」を置いた形の文字です。この「舌 」は、元はした≠ニは別字でしたが、現在では同じ形が使用されています。生き生きと動き回る様子、人の生活する姿を表す文字です。漢点字では、「(さんずい)」と「(舌)」で表されます。
 「活動」「活発」「活力」「活気」「活火山」「活魚」「生活」「自活」「快活」「復活」「活け花」「活け作り」

 (91) 舎   シャ  やど いえ やど‐る やど‐す
 三角の屋根の形の下に「土」、その下に「口」を置いた形の文字です。手足をゆったりと伸ばしてくつろげる家、一休みするためのヤドを意味します。この文字の旧字「舍」は、三角の屋根の下に「舌 」に似た字を置いた形の文字です。漢点字ではその旧字の形に倣って、「(三角屋根)」と「(舌)」で表されます。
 「舎監」「舎館」「寄宿舎」「官舎」「兵舎」「厩舎」

 (92) 話   ワ  はな‐す はなし
 「言偏」の右側に「舌 」を置いた形の文字です。「舌 」は、本来はシタとは別字でしたが、現在では同じ形です。口を開いてはなす、勢い付いてはなす、はなしをする、物語をはなす、あるいは言葉一般を指す文字です。漢点字では、「(言偏)」と「(舌)」で表されます。
 「話芸」「話題」「話術」「会話」「談話」「神話」「民話」「説話」「寓話」「逸話」「話し上手」「話し好き」「昔話」「夜話」

 ・「口」を部首として含んでいて、漢点字の符号に反映されていない文字一つ。
 (93) 絹   ケン  きぬ
 左側に「糸偏」、右側に、上に「口」、下に「月」を置いた形の文字です。蚕の繭から取った糸のことです。右側の「口」は、丸い形の繭を象ったもので、その下の「月」は「肉」、つまり繭の中にいるサナギを表しています。漢点字では、「(糸)」と「(月)」で表されます。「口」は省略されます。
 「絹糸」「絹布」「正絹」「人絹」「生絹」「練絹」「絹織物」

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