「うか」073  シリーズ初回へ  トップページへ

漢点字講習用テキスト
初級編 第14回


    3  複合文字 (1)

 5.漢数字および第一基本文字を部首とした文字 (5)

 ※ 「口」を部首として含む文字。

 (78) 唱  ショウ  とな‐える うた‐う うた
 「口偏」の右側に「日」を縦に二つ並べた形の文字です。右側の部首は、元は口をそろえて言う≠ニいう意味を持った文字でしたが、現在では、別の意味に用いられています。そのために「口」を偏に付けて、その意味を表すようになりました。となえる≠ニ読んで、人に先んじてものを言う意味、うたう≠ニ読んで、節を付けてうたうことを表します。漢点字では、「(口偏)」と「(日)」で表されます。
 * 右側の「日」を縦に並べた文字「昌 」、「ショウ、まさ」は、中級編でご紹介します。
 「唱和」「唱歌」「唱詠」「合唱」「独唱」「輪唱」

 (79) 単  タン  ひとえ
 墨字では、カタカナの「ツ」の下に「田」・「十」と縦に並べた形の文字です。訓読みではひとえ≠ナすが、副詞的にたんに≠ニいう用いられ方が一般です。ただ一つ=A複雑でない≠ニいう意味で用いられます。この文字の旧字の「單」は、カタカナの「ツ」のところが、「口」を横に二つ並べた形になっています。漢点字では、この旧字を点字符号にしています。すなわち「」と「」の符号で、「口」を二つ並べた形で表されます。
 「単一」「単位」「単純」「単性」「単線」「簡単」「単衣物」

 (80) 和   ワ カ  やわ‐らぐ やわ‐らげる なご‐む なご‐やか あ‐える
 「禾偏」の右側に「口」を置いた形の文字です。「禾」は、稲穂の実った形を表していて、豊かに穂を垂れた、丸く柔らかい状態を表す部首です。右側の「口」も、丸く定まった意味を表しています。やわらぐ∞なごむ≠ニ読んで、角張らず、互いに許し合うという意味を表します。あえる≠ニ読んで、野菜や魚介を合わせた料理の意味にも用いられます。また、わ≠ニ音読みすれば、我が国・日本を指す語にもなりますし、戦いを収めることも意味します。漢点字では、「(禾偏)」と「(口)」で表されます。
 「和英辞典」「和解」「和合」「和平」「和睦」「平和」「共和国」「酢味噌和え」

 ・「合 」と、それを部首として含む文字三つ。
 (81) 合   ゴウ ガツ  あ‐う あ‐わせる あつ‐める あつ‐まる
 三角の屋根の形の下に横線、その下に「口」を置いた文字です。「口」は容器の形を表して、それに三角屋根と横線で表したフタを、ぴたりと閉じ合わせた形です。そこから、あう∞あわせる≠ニいう意味が生じました。ものとものとがぴたりとあう=A気持ちや心があう=Aと用いられます。また、ものをあつめる=A人があつまる≠ニいう意味にも用いられます。さらに、容量の単位として、一升の十分の一の意味に、また、高い山を十等分して、その高さの目安としても用いられます。漢点字では、「」で三角の屋根の形を、「」で、「口」を表しています。
 * あう≠ニ読む文字は沢山あります。前回出て来た「会 」とこの「合 」の用いられ方の違いにご注意下さい。大まかに、前者は「人にあう」、後者は、「ものがぴたりとあう」と用いられます。
 「合格」「合理」「合同」「総合」「会合」「集合」「談合」「国際連合」「労働組合」

 (82) 給   キュウ コウ  たま‐う たまわ‐る たま‐え た‐す あた‐える
 「糸 偏」の右側に「合 」を置いた文字です。布地の欠けたところを直ぐに補うという意味を表しています。欠けたところを補う、必要なものを与える、目下の者へ与えるなどの意味があります。漢点字では、「(糸偏)」と「(合 )」で表されます。
 「給与」「給食」「給仕」「給餌」「支給」「補給」「俸給」

 (83) 拾   シュウ  ひろ‐う
 「手偏」の右側に「合 」を置いた形の文字です。手で掻き集めることを表す文字で、そこからひろう≠ニいう意味が生じました。漢点字では、「H(手偏)」と「(合 )」で表されます。
 「拾得物」「拾遺集」「落ち穂拾い」「拾い物」

シリーズ初回へ  トップページへ