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漢点字講習用テキスト
初級編 第10回


    3  複合文字 (1)

 3.漢数字および第一基本文字を部首とした文字 (5)

(「ひとあし」の付いた文字、続き)
  (47)  見   ケン ゲン  み‐る
        まみ‐える
  「目」の下に「元 の儿(ひとあし)」を置いた形の文字です。目で見ることを表しています。見ることから、人が現れること、ものごとの見方、考え、意見という意味が生じます。また、人に会う、まみえるの意味も表します。漢文訓読では、る、らる、られる≠ニいう、受け身の助動詞として読み解かれます。漢点字では、「 (目)」に「 (儿)」で表されます。
  「見学」「見物」「見解」「意見」「謁見」「百聞は一見に如かず」

  (48)  介   カイ ケ  はさ‐む
        たす‐ける すけ
  「ひとやね」の下に「八` 」を置いた形の文字です。屋根型の三角の下に脚を付けた形です。この文字の三角の屋根の形を、「ひとやね」と呼びます。人が大きく脚を開いて構えている形です。その下に数字の八の形を置いて、中に割って入る、中を取り持つという意味を表します。また、そこからたすける≠ニいう意味が生じて、平安時代の官職のすけ≠ノこの字が当てられることがあります。またそこから現在でも、男性の名前にすけ≠ニして用いられています。漢点字では、「」で「ひとやね」を表し、「」で「儿」を表しています。八の形を「ひとあし」ととらえて、「」を採用しました。
  「介在」「介入」「介護」「介助」「紹介」「仲介」「芥川龍之介」

  (49)  先   セン  さき さき‐んずる
        ま‐ず
  「土」の左上にカタカナの「ノ」を付けて、下に「儿」を付けた形の文字です。「先代、先日、先月」と、時間的に遡った意味を表します。また、他の人より早くとか、他はさておいてとかの意味も表します。さらに、長いもの、動くものの前の部分をも指します。しかし現在では、時間的に遡った、過去を指すばかりでなく、未来を言うこともありますので、注意が必要です。漢点字では、「 (土)」と「(儿)」で表しますが、儿≠ノ「」を採用したのは、他の漢点字符号と重なるからです。
  「先人」「先代」「先祖」「先日」「先月」「先端」「刃の切っ先」「船の舳先」「先ずはお茶を一杯」

  ※ 「兄 」が部首として含まれる文字一つ。
  (50)  祝   シュク シュウ  いわい
        いわ‐う ほ‐ぐ
  「示偏」に右側に旁として「兄 」を置いた形の文字です。「示偏」は、祭壇を表します。「兄 」は、その前にひざまずいた人を象っています。神様に仕える人、祝い事、神様を讃えることを表します。漢点字では、「 (示偏)」と「 (兄 )」で表されます。
  「祝日」「祝祭」「祝辞」「祝宴」「祝言」「新年を言祝ぐ」「この子の七つのお祝いに」

  * 「兄 」の上に八を置いた文字があります。この文字は、部首として多くの文字に含まれます。
  (参考)  兌   ダ  あな ぬけ‐でる
  金本位制経済のころ、発行された紙幣は、その高に応じた金と交換されていました。このような紙幣を「兌 換紙幣」と呼びます。現代の紙幣は、金とは交換されません。これを「不換紙幣」と呼びます。この「兌 」は、着ている着物を解き放すという意味を有します。部首となってエイ、エツ、セイ、セツ、ダ、ダイ、ダツ≠ニいう音と、かえる、ぬく≠ニいう意味を表します。

  ※ 「兄 」の上に八が付く「兌 」が部首として含まれる文字二つ。
  (51)  説   セツ セイ  と‐く
        よろこ‐ぶ よろこ‐ばしい
  「言偏」の右側に「兌 」を置いた形の文字です。言葉で解き放つという意味を表して、ものごとを説明することや、学問上の理論を指したりします。また、よろこぶ、よろこばしい≠ニいう意味にも用いられることがあります。漢点字では、「 (言偏)」と「 (兌 )」で表されます。
  「説明」「説得」「解説」「小説」「学説」「論説」

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