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ニ ュ ー ス ・ お 知 ら せ

      ご報告とご案内    岡田 健嗣

1 『常用字解』の音訳版が完成しました

 本誌にご報告致しましたように、『常用字解』(白川静著・平凡社)の音訳版が完成致しました。墨田区立ひきふね図書館から、サピエ図書館に登録していただくよう、手続きをしていただいております。間もなくそれも完了して、読者の許へお届けできるものと存じます。
 東日本大震災の直後、2011年にこのプロジェクトは開始されました。当初は沢山の音訳者の方にご参加をいただきましたが、残念ながら最後まで残って下さいました方は、多くはありませんでした。しかしながらそのメンバーの皆様の後ろには、この活動を支えて下さった方々が沢山おられました。このことによって、このプロジェクトも、今日を迎えられたと申しても過言ではありません。
 思い返せば、予想はできていたとは申せ、音訳としては、誰もが未経験であることに遭遇して参りました。例えば漢字の説明、また漢字の字形の説明などは、従来の音訳で行われている方式では、到底叶いませんでした。また、書物が大部でしたので、膨大な音訳となりました。そのために複数の音訳者の皆様に、分担して当たっていただきました。いきおい読み1つにしても、複数の方々に、統一した読みをお願いしなければならないという、単独の音訳では思い至らない事態にも遭遇致しました。
 しかしこのことは、音訳の今後に、様々な示唆を与えて下さったものと考えております。その1つを申せば、音訳の作業も、でき得れば共同作業にして、複数の方々が共通の認識を持ちながら、よりよくチェック機能を果たせるよう、組織だった活動を目指していただければと考えるようになりました。その他にも思い当たるところはございますが、細部に渡るところは控えさせていただきます。
 視覚障害者の皆様に、漢字の知識をご提供できることは、今後を思えば、どのような未来に繋がるのか、大変楽しみに存じます。
 音訳版の文字資料は、本会のホームページにも掲載致します。岡田メモも更新しつつ、掲載いたしますので、ご利用いただければ幸いです。

2 漢点字データが、サピエ図書館に登録されました

 この4月から、KGS製の点字ディスプレイ・ブレイルメモ用のデータ・BMTファイルの形式で、漢点字の電子データが、サピエ図書館に、登録されることになりました。
 早速本会の製作しております“be on saturday”(朝日新聞、毎週土曜掲載)、「朝日歌壇・俳壇」(朝日新聞・毎週日曜掲載)、そして朝日新聞と読売新聞の健康記事を、BMTファイルにして、登録していただくことに致しました。現在5月分まで登録が完了しております。6月分は、現在国立国会図書館を通して、手続きを行っております。サピエ図書館からダウンロードして、ご利用下さい。

3 『古事記』

 今年度の中央図書館への納入書として、『古事記』(全訳注・次田真幸)を準備しております。
 昨年度まで10年をかけて、『萬葉集釋注』(伊藤博著・集英社)を製作し、納入してまいりました。全10巻を完成して、「万葉集」の全容を見ることができるようになりました。
 今年度は、もう1つの古典の大本である『古事記』に挑戦することに致しました。
 ご期待下さい。

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