「うか」121  トップページへ
ニ ュ ー ス ・ お 知 ら せ

      ご報告とご案内    岡田 健嗣

 1 本号・機関誌『うか』121号の発行について
 本誌・機関誌『うか』は、昨年(2020年)には1月に119号、10月に120号を発行しました。季刊の発行の予定が、このように間遠なものになりましたのも、他でもありません、新型コロナ・ウィルス、COVID-19のパンデミックが生じて、世の中の活動が著しく制限されたために、本誌の印刷や製本が叶わなくなったためです。また本誌も、計画では今年1月には発行したいと考えておりましたが、今月になって作業ができる見通しが立ちまして、やっと発行できる運びとなりました。発行に当たって下さる会員の皆様には、心より御礼申し上げます。

 2 賛助会費のご納入、深く御礼申し上げます
 2020年度の賛助会費のご納入、誠にありがとうございました。有効に使わせていただきます。
 ご納入下さいました皆様のご芳名は、左の通りです。

  雨宮絢子様、坂口喜代様、田崎吾郎様、馬場威力様、岡稲子様、武田幸太郎様、村田忠禧様、河村美智子様、政井宗夫様、関口常正様、木原純子様

 心より御礼申し上げます。
 
 3 『萬葉集釋注』第九巻・漢点字版
 『萬葉集釋注』第9巻(伊藤博著、集英社文庫)の漢点字版が完成しました。そして、2020年度分として、横浜市中央図書館に納入しました。
 同書全十巻の漢点字版を順次製作して、中央図書館に納入して参りましたが、2020年度はその第九巻となりました。
 第九巻には、『萬葉集』の巻第十七と巻第十八が収められています。巻頭の10首の歌についての伊藤先生の「釈文」から、その頭の部分を引いてみます。

 巻十七から巻二十までの、『万葉集』末尾の4巻は、筆者のいう〝15巻本万葉集〟(巻一~十五に付録「由縁有〔ゆゑよしあ〕る雑歌〔ざふか〕」を添えたもの)を、「由縁有る雑歌」を巻16として独立させつつ16巻に仕立てたのちに、大伴家持手許の歌日誌を4巻に分けて16巻のうしろに合わせることで成立したものと推定される。すなわち、『万葉集』20巻は、巻一~十六が第1部、巻十七~二十が第2部としてまとまりを見せ、大きくは2部構造になっているわけである。この場合、右に掲げた冒頭歌群から3921までの32首は、第1部に収めるべくして洩れた歌を、第1部と第2部との繋ぎとして補ったものと思われる。それが証拠に、32首は、天平2年(730)、天平10年、天平12年、天平13年、天平16年と、歌が飛び飛びに配列されているのに対し、そのあとは、天平18年以降、1年の切れ目もなく続いている。
 この32首が、どこにどのようにして洩れていたかはよくわからない。ただ、そこには、第1部では4首の歌しか登録されていない、家持の弟の書持〔ふみもち〕の歌が、8首もある。このことから、32首は、大伴書持の手許に蔵されたまま、その死後発見されてここに収録されるに至ったのではないかと推測される。書持が他界したのは、天平18年の9月初旬頃。兄家持が越中国守に赴任して2か月後のことであった(3957~9参照)。家持は、その後帰京して、いつの日か、弟書持の手許の32首を発見し、心中記念するところもあって、第2部の冒頭にこの32首を掲げたのではないかと思われる。(後略)

 なおこの漢点字版は、横浜市中央図書館に所蔵されて、全国の図書館を通して貸し出されます。大いにご利用下さい。

 4 本会の製作して参りました漢点字書の電子データについて
 既にご報告申し上げましたように、本会の製作して参りました、あるいはこれから製作して参ります漢点字書の電子データを、テキストデータと漢点字用のデータ、並びにBMTのデータとしてご提供致します。
 また現在同データを横浜市中央図書館にご提供すべく、同館にご提案申し上げてもおります。
 漢点字書とともに、ご利用をお待ち申し上げます。
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