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東京漢点字羽化の会学習会報告
「うか081」
  第38回 学習会 2010年5月22日(土)

 1.第1基本文字と比較文字で構成される文字(1)

 (11) 「英 」 草冠(ク:1・4・6の点)と央(オ:2・4の点)で表わす。字式は草冠/央。音読みのエイは漢・呉音。訓読みにひい‐でる、ひで、すぐ‐る≠ェある。熟語に英知∞英断∞石英∞育英∞英霊∞英傑∞英才£n名などに英虞湾(あごわん:三重県の志摩半島にある湾、真珠の養殖地)∞英吉利(イギリス)¢シに蒲公英(たんぽぽ)≠ェある。
 * 「天 」ア(1の点)とケ(1・2・4・6の点)の上に点が二つ付いたものをパーツとして含む文字二つ。天の上に点が二つ付いた形を「ソ天」という。ちなみに、一の上に点が二つ付いた形を「ソ一」といい、「前」の字が代表的。
 (12) 「関 」 門構え(モ:2・3・4・5・6の点)と天(ケ:1・2・4・6の点)で表わす。字式は門>ソ天。音読みのカンは漢音。旧字は「關」で、門を固く閉じた形を意味している。熟語に関連∞関心∞相関∞関白∞関数∞機関∞玄関=A地名に関八州(かんはっしゅう:相模、武蔵、安房、上総、下総、常陸、上野、下野の8カ国)∞関越∞下関(しものせき)∞関が原∞函谷関(かんこくかん:中国河南省北西部にある交通の要地、日本の箱根の山≠フ歌にでてくる)≠ネど。
 (13) 「送 」 しんにょう(ヒ:1・2・3・6の点)と天(ケ:1・2・4・6の点)で表わす。字式はしんにょう+ソ天。しんにょう≠ヘ動き進むことを表し、ソ天≠ヘ人が手で品物を上に捧げた意味を持つ。音読みのソウは漢・呉音。熟語に運送∞輸送∞配送∞発送∞送信∞伝送、電送∞葬送∞早送り∞仕送り≠ネど。
 * 「夫 」ワ(3の点)とケ(1・2・4・6の点)をパーツとして含む文字2つ。
 (14) 「規 」 夫(ケ:1・2・4・6の点)と見(2・5の点)で表す。字式は夫+見。音読みのキは漢・呉音。訓読みにのり、ただ‐す、=B熟語に規格∞規制∞内規∞三半規管(脊椎動物の内耳にある器官で半円形の管が3個あり、平衡感覚をつかさどる)≠ネど。
 (15) 「賛 」 貝(オ下がり:3・5の点)と夫(ケ:1・2・4・6の点)で表わす。字式は(夫+夫)/貝。夫の突き出た部分は頭の飾り(かんざし)を意味している。貝と合わせて神に願いを訴え、助けを乞うという意味をもつ。音読みのサンは漢・呉音。熟語に賛意∞賛辞∞賛否∞絶賛∞奉賛≠ネど。


  第39回 学習会 2010年6月19日(土)

 * 「小 」比(4・5の点)とソ(2・4・5・6の点)をパーツとして含む文字。
 ・「肖 」と肖をパーツとして含む文字1つ。
 (16) 「肖 」 ソ(2・4・5・6の点)とラ下がり(2・6の点)で表す。字式は小・月(にくづき)。音読みのショウは漢・呉音。訓読みにあやか‐る≠ェある。熟語に肖物(あえもの:手本とするもの)∞肖り者(あやか‐りもの:果報者)∞酷肖(こくしょう:酷似と同意義)≠ネど。
 (17) 「消 」 さんずい(ニ:1・2・3の点)とソ(2・4・5・6の点)で表す。字式はさんずい+肖。音読みのショウは漢・呉音。熟語に解消∞消毒∞消防∞消滅∞消却∞消去∞消耗∞消息∞消耗∞消臭∞雲散霧消∞意気消沈∞抹消∞打消し∞取り消し∞帳消し∞艶消し∞消え去る≠ネど。
 * 「低 」比(4・5の点)とロ下がり(3・5・6の点)の旁をパーツとして含む文字。
 (18) 「底 」 まだれ(ヨ:3・4・5の点)とロ下がり(3・5・6の点)で表す。字式は广>(氏/一)。音読みのテイは漢・呉音。熟語に到底∞徹底∞根底∞谷底∞底意地∞上げ底∞二重底∞鍋底∞奈落の底∞底冷え≠ネど。
 * 「氏 」ア(1の点)とロ下がり(3・5・6の点)をパーツとして含む文字。
 (19) 「紙 」 糸偏(イ:1・2の点)とロ下がり(3・5・6の点)で表わす。字式は糸+氏。音読みのシは漢・呉音。熟語に表紙∞原紙∞印紙∞色紙∞草紙∞誓紙∞画用紙∞手紙∞型紙∞折り紙∞紙屑∞紙風船∞紙吹雪∞紙婚式(かみこんしき:結婚1年目)¢シの読みとして紙鳶(いか:関西地方でいう凧のこと)∞紙縒り(こよ‐り)≠ネど。紙は、中国の後漢時代の宦官、蔡倫(さいりん)が樹皮・ぼろ布・魚網などから精製し、紀元105年に帝に献上したのが始まりといわれてきたが、前漢期の遺跡から古紙が出土し、前漢(紀元前202年〜紀元後8年)の初期に開発された。
 一方古代エジプトで紀元前30世紀頃からパピルスという草の茎から製造された紙が使用され、紀元後8世紀頃までヨーロッパでも用いた。

「うか082」
  第40回 学習会 2010年7月17日(土)

 1.第1基本文字と比較文字で構成される文字(2)

 * 「良(比: 4・5の点とヤ: 3・4の点)」をパーツとして含む文字四つと、「艮(3の点とヤ: 3・4の点)」をパーツとして含む文字六つ。


 艮は、十二支で表した方位の北東の位置で、鬼門ともされ、京を守ることから比叡山に延暦寺、江戸を守ることから日光に東照宮を建立した。

 ・「良 (比: 4・5の点とヤ: 3・4の点)」をパーツとして含む文字四つ。
 (20) 「朗 」 月(ラ: 1・5の点)とヤ(3・4の点)で表し墨字とは左右が逆。字式は良+月。音読みのロウは漢・呉音。訓読みにあきら‐か¥n語に朗報∞朗朗∞晴朗∞明朗∞朗徹(ろうてつ: すきとおっていること)∞朗色(ろうしょく: 朗らかな様子)≠ネど。
 (21) 「娘 」 女(フ: 1・3・4・6の点)と良(ヤ: 3・4の点)で表わす。字式は女+良。音読みのジョウは漢音で「嬢」からきた。熟語に生娘∞看板娘∞小町娘∞愛娘(まなむすめ)¢シの読みに豆娘(いととんぼ)≠ェある。
 (22) 「郎 」 良(ヤ: 3・4の点)とおおざと(サ: 1・5・6の点)で表す。字式は良+おおざと。音読みのロウは漢・呉音。訓読みにおとこ=B熟語に野郎∞下郎∞外郎(ういろう: 山口、名古屋の名産)∞河太郎(かわたろう)、河郎(かわろう)いずれも河童の異称=A他の読みに郎女(いらつめ: 若い女子)∞郎子(いらつこ: 若い男子)=B
 (23) 「浪 」 さんずい(ニ: 1・2・3の点)と良(ヤ: 3・4の点)で表す。字式はさんずい+良。音読みのロウは漢・呉音。熟語に浪士∞波浪∞放浪∞流浪∞浮浪∞浪漫∞白浪(しらなみ: 盗賊の異称)=A歌舞伎の演目に白浪五人男(日本駄右衛門、忠信利平、南郷力丸、赤星重三、弁天小僧の五人の盗賊の物語)∞白浪五人女(須走お熊、雲切お六、おさらばお伝、木鼠お吉、山猫おさんの五人の女賊の物語)=A大阪市と近辺の古称のなにわ≠ノは浪花、難波、浪速≠フ三文字がある。

 ・「艮 (3の点とヤ: 3・4の点)」をパーツとして含む文字六つ。
 (24) 「眼 」 目(メ: 1・2・3・4・5・6の点)と艮(ヤ: 3・4の点)で表す。字式は目+艮。音読みのガンは漢音、ゲンは呉音。熟語に眼鏡∞眼力∞眼光∞眼中∞眼目∞主眼∞正眼∞審美眼∞着眼∞千里眼∞血眼(ちまなこ)∞眼撥(めばち: サバ科の魚)∞眼張(めばる: フサカサゴ科の魚)∞竜眼(リョウガン: 天子の眼)∞針眼(みず: 針の糸を通す孔。針孔とも書く)≠ネど。
 (25) 「銀 」 金偏(カ: 1・6の点)と艮(ヤ: 3・4の点)で表す。字式は金+艮。音読みのギンは漢音。訓読みにしろがね=B熟語に銀婚∞銀紙∞銀世界∞銀舎利∞燻し銀∞銀閣=A地名に銀山∞銀座≠ネど。
 (26) 「根  木偏(キ: 1・2・6の点)と艮(ヤ: 3・4の点)で表す。字式は木偏+艮。音読みのコンは漢・呉音。熟語には根治∞根底∞大根∞蓮根∞羽根∞屋根∞垣根∞禍根∞性根∞精根∞草の根=A地名に島根∞彦根∞根室∞白根∞箱根∞根岸≠ネど。
 (27) 「限 」 こざと偏(サ: 1・5・6の点)と艮(ヤ: 3・4の点)で表す。字式はこざと偏+艮。音読みのゲンは呉音。熟語に限外∞上限∞下限∞極限∞刻限∞権限∞無限∞門限∞其限(それきり)$謨ィ取引の受け渡し時期に当限(とうぎり: 当月末)、中限(なかぎり: 翌月末)、先限(さきぎり: 3ヶ月末)=A落語の演題に寿限無(じゅげむ)≠ェある。

  第41回 学習会 2010年9月18日(土)

 (28) 「退 」 しんにょう(ヒ: 1・2・3の点)と艮(ヤ: 3・4の点)で表す。字式はしんにょう+艮。音読みのタイは漢・呉音。訓読みにど‐く=B熟語に後退∞辞退∞早退∞進退∞退散∞退却∞退室∞退席∞退避∞退屈∞脱退∞撤退∞一進一退∞後退り(あとずさ‐り)∞遠退く(とおの‐く)∞不退転≠ネど。
 (29) 「既 」 艮(ヤ: 3・4の点)と4・6の点で表わす。字式は艮+旡。音読みのキは漢音。右側の旡(キ、ケの読み)は象形文字でソッポを向いている状態、食べてしまったという意味。熟語に皆既∞既往∞既決∞既存∞既習∞既得権∞既の所(すんで‐の‐ところ)≠ネど。

 * 「可 (ヒ: 4・5の点)とカ(1・6の点)」をパーツとして含む文字3つ。
 (30) 「阿 」 こざと偏(サ: 1・5・6の点)と可(カ: 1・6の点)で表す。字式はこざと偏+可。音読みのアは漢・呉音、アは唐音。訓読みにくま=B熟語に阿漕(あこぎ)∞阿修羅∞阿弥陀∞加加阿(カカオ)#\楽の観阿弥∞世阿弥=A地名に阿蘇∞阿寒湖∞阿倍野∞阿武隈川∞阿賀野川)=A国名に阿蘭陀(オランダ、和蘭とも)=B
 (31) 「河 」 さんずい(ニ: 1・2・3の点)と可(カ: 1・6の点)で表す。字式はさんずい+可。音読みのカは漢音、ガは呉音。熟語に山河∞氷河∞銀河∞河岸(かし、かがん)∞河童(かっぱ)∞河鹿(かじか)∞河豚(ふぐ)∞河馬(かば)∞河口∞河原雀(セキレイのこと)=A遡河魚(そかぎょ: 鮭や鮎、など河を遡る魚)£n名に河津∞古河(こが、ふるかわ)∞白河∞湯河原∞駿河∞寒河江≠ネど。

 ・「何 (ナ: 1・3の点とカ: 1・6の点)」と何をパーツとして含む文字一つ。
 (32) 「何 」 人偏(ナ: 1・3の点)と可(カ: 1・6の点)で表す。字式は人偏+可。音読みのガは漢音、ガは呉音。熟語に如何(いかが)∞何度∞何時(なんじ、いつ、いつぞ)∞何方(どちら、どなた)∞何奴(なにやつ、どいつ)∞幾ら何でも≠ネど。
 (33) 「荷 」 草冠(ク: 1・4・6の点)と何(ナ: 1・3の点)で表す。字式は草冠/荷。音読みのカは漢音。訓読みににな‐う=B熟語に出荷∞荷受(にうけ)∞重荷∞荷重∞集荷∞荷札∞負荷∞稲荷∞明け荷(あ‐け‐に)∞茗荷=A作家に永井荷風≠ェある。

 ・「奇 (大・ケ: 1・2・4・6の点とカ: 1・6)の点)と奇をパーツとして含む文字。
 (34) 「奇 」 大(ケ: 1・2・4・6の点)と可(カ: 1・6の点)で表す。字式は大/可。音読みのキは漢音。異体字に「竒」がある。訓読みにあやし‐い)=B熟語に奇縁∞奇形∞奇策∞奇術∞奇人∞奇想天外∞奇特∞奇兵隊∞奇妙∞好奇心∞珍奇∞奇奇怪怪≠ネどがある。

「うか083」
  第42回 学習会 2010年10月23日(土)

 (35) 「寄 」 ウ冠(ウ:1・4の点)と奇(カ:1・6の点)で表す。字式はウ冠/奇。音読みのキは漢・呉音。訓読みにより=Bウ冠は屋根を意味する。熟語に寄進∞寄贈∞寄生∞寄席(よせ)∞寄木(よせぎ)∞年寄り∞駆け寄る∞寄り合い∞最寄(もより)∞立ち寄り=A地名に名寄(なよろ)≠ネど。
 ※ 「東 (4・5の点とヒ:1・2・3・6の点)」をパーツとして含む文字1つ。
 (36) 「練 」 糸偏(イ:1・2の点)と東(ヒ:1・2・3・6の点)で表わす。字式は糸偏+東。音読みのレンは漢・呉音。熟語に未練∞老練∞修練∞手練手管∞練り直す∞練り歩く=A地名に練馬≠ネど。
 ・旁の部分東≠ノ似た文字柬 (カン、ケン、えら‐ぶ)≠用いる文字がある。棟(トウ、むね)と楝(レン、おうち)≠ニいったように練の音読みレンは柬≠ゥらきている。
 ※ 「西  4・6の点とニ(1・2・3の点)」をパーツとして含む文字4つ。
 (37) 「煙 」 火偏(3・4・5・6の点)と西(ニ:1・2・3の点)で表す。字式は“火偏+西※”/土。音読みのエンは漢・呉音。熟語に愛煙∞紫煙(しえん)∞禁煙∞煙管(きせる)∞狼煙(のろし)∞発煙∞噴煙∞湯煙∞煙火∞煙霧≠ネど。
 ・字式の※は前置の字に似ているという意味をもつ。
 (38) 「要 」 西(ニ:1・2・3の点)と女(フ:1・3・4・6の点)で表す。字式は西※/女。音読みのヨウは漢・呉音。訓読みにもと‐める=B熟語に要求∞概要∞要領∞要因∞肝要∞必要∞重要∞需要∞主要∞枢要∞強要∞要害∞要塞∞要旨∞要約≠ネど。
 ・「票 (西:1・2・3の点と示:1・2・3・4の点)」と票をパーツとして含む文字
 (39) 「票 」 西(ニ:1・2・3の点)と示(ノ:1・2・3・4の点)で表す。字式は西※/示。音読みのヒョウは漢・呉音。訓読みにふだ=B熟語に原票∞伝票∞帳票∞集票∞開票∞得票∞白票∞満票≠ネど。
 (40) 「標 」 木偏(キ:1・2・6の点)と票(ニ:1・2・3の点)で表す。字式は木+票。音読みのヒョウは漢・呉音。訓読みにしるし、しめ=B熟語に標準∞指標∞座標∞標本∞標(表)札∞道標(どうひょう、みちしるべ、みちじるし)∞標(注連)縄(しめなわ)≠ネど。

「うか084」
  第44回 学習会 2010年12月18日(土)

 3.第1基本文字と比較文字で構成される文字(3)
 ※ 「皆 (比:4・5の点とリ下がり:2・3・6の点)」をパーツとして含む文字一つ。

 (41) 「階 」 こざと偏(サ:1・5・6の点)と皆(リ下がり:2・3・6の点)で表す。字式はこざと偏+皆。「こざと」は阜から転化した字で、神が天から降りてくるはしごという意味。旁の比は人が並んでいる形。白は口(サイ)に物が入っている様子を意味し、サイを囲んで人々が集まっている所に神が天から降りてきた意味を持つ。古い神社、仏閣は階段の上に建立しているのが多い。音読みのカイは漢・呉音。訓読みにきだはし、はし、しな≠ェある。熟語に階(はし:庭から屋内に昇る階段)∞歴階(れきかい:1段ごとに片足ずつかけて急ぎ昇ること)∞山皆(やましな:山科とも、京都の地名)∞山皆寺(やましなでら:興福寺の旧称)∞位階(いかい:古代、朝廷の官人の身分標識。栄転の一種で勲功・功績者に与えられる位・叙勲)∞冠位十二階(603年、聖徳太子、蘇我馬子らが制定。徳・仁・礼・信・義・智の位を定め、それぞれに大小を付与し12階。冠は紫・青・赤・黄・白・黒で色分けし、濃淡をつけ区別した)
 ※ 「尺 (比:4・5の点とタ:1・3・5の点)」をパーツとして含む文字三つ。旁の部分は度量衡を表す尺ではなく、旧字の「澤」などの旁からきている。上の部分はよこめ、あみがしらで$博嘯フ四からきたという説もある。下の「幸」は、手かせ足かせのかせ≠ゥらきたもの。罪を犯してもその程度で済んだことから幸い≠ノ意味が使われるようになった。
 (42) 「駅 」 馬偏(ソ:2・4・5・6の点)と尺(タ:1・3・5の点)で表す。字式は馬+尺。駅馬車の馬を交換する場所。中国の元の時代はシルクロードの各所に駅を配置した。音読みのエキは漢音。訓読みにうまや、はいま

  第45回 学習会2011年1月22日(土)

 (43) 「沢 」 尺(タ:1・3・5の点)とさんずい(ニ:1・2・3の点)で表す。墨字とは左右が逆になる。字式はさんずい+尺。音読みのタクは漢音。訓読みにうるおう≠ェある。熟語に遺沢(いたく:後世に残された故人の恵み)∞恩沢(めぐみ、情け)∞滑沢(かったく:なめらかでつやがあること)∞恵沢(けいたく:恩恵をうけること)∞贅沢∞潤沢∞沢庵=A地名や人名に用いられ、丹沢∞所沢∞駒沢∞鰍沢∞金沢∞野沢∞米沢∞沢村∞沢田∞柳沢≠ネど多数ある。
 (44) 「訳 」 第2言偏(エ下がり:2・3・5の点)と尺(タ:1・3・5の点)で表す。字式は言偏+尺。音読みのヤクは呉音。熟語に内訳(うちわけ)∞意訳∞訳語(おさ、やくご:外国語を通訳すること、人)∞音訳∞金訳(かねわけ:金銭の勘定)∞訳有り∞申し訳無い≠ネど。
 ※ 「寸 (比:4・5の点とシ:1・2・5・6の点)」パーツとして含む文字十四と、時間に関係する文字二つ。
 (45) 「守 」 ウ冠(ウ:1・4の点)と寸(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式はウ冠/寸。音読みのシュ、スは呉音。熟語に看守∞厳守∞攻守∞守秘∞鎮守∞天守∞天守閣∞守銭奴∞保守∞見守る≠ネど。
 (46) 「村 」 木偏(キ:1・2・6の点)と寸(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は木偏+寸。音読みのソンは漢・呉音。「邑」から転じた文字。熟語に寒村∞村八分=A名前に村田∞村主(すぐり)∞木村∞村山∞田村∞村上≠ネど多く使われている。
 (47) 「討 」 言偏(エ:1・2・4の点)と寸(シ:1・2・4・6の点)で表す。字式は言偏+寸。音読みのトウは漢・呉音。訓読みにたずね‐る≠ェある。熟語に仇討ち(あだう‐ち∞敵討ち(かたきう‐ち)∞討ち入り∞返り討ち∞闇討ち≠ネど。
 (48) 「冠 」 ワ冠(2・5の点)と寸(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式はワ冠/(元+寸)。音読みのカンは漢・呉音。熟語に栄冠∞王冠∞三冠∞冠者∞冠水∞冠鷲∞冠位十二階≠ネど。

「うか085」
  第46回 学習会 2011年2月19日(土)

 (49) 「団 」 くにがまえ(レ下がり:2・3・4・6の点)と寸(テ:1・2・3・4・5の点)で表す。字式はくにがまえ>寸。寸は專≠簡略したもの。傳→伝、轉→転と同じ。音読みのダンは呉音、トン・ドンはは唐音。訓読みにまるい、かたまり≠ェある。人名用にまどか≠ェある。熟語に一団∞楽団∞公団∞財団∞団塊∞団地∞金団(きんとん)∞水団(すいとん)∞炭団(たどん)∞団栗(どんぐり)∞団亀(どんがめ:スッポン)∞地団太∞団欒(だんらん)∞蒲団(ふとん)¢シに団扇(うちわ)≠ネどがある。
 (50) 「導 」 道(ヒ:1・2・3・6の点)と寸(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は道/寸。道には魔除けのために人の首をぶら下げて歩くという意味がある。音読みのドウは呉音、訓読みにしるべ≠ェある。熟語に引導∞訓導∞伝導∞主導∞先導∞補導∞盲導犬∞導引(どういん:みちびくこと。あんま。もみりょうじ)∞道導(みちしるべ)∞山導(やましるべ:山の案内)≠ネど。
 ※ 「付」と付をパーツとして含む文字。
 (51) 「付 」 人偏(ナ:1・3の点)と寸(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は人偏+寸。音読みのフは漢・呉音。訓読みにつく≠ェある。熟語に交付∞手付け∞番付∞受付∞貸付∞片付け∞怖気付く∞給付∞心付け∞極め付け∞日付∞紋付∞付加価値∞尾頭付き≠ネど。
 ※ つく≠フ文字に着く∞点く∞就く∞突く∞搗く∞衝く∞撞く∞憑く∞漬く≠ネどがありそれぞれ意味がある。
 (52) 「府 」 まだれ(ヨ:3・4・5の点)と寸(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式はまだれ>付。まだれは建物を表す。音読みのフは漢・呉音。訓読みにくら、みやこ≠ェある。熟語に幕府∞府立∞天府(てんぷ:天然の庫学識の深いこと、天子のくら)∞府庫(貨財をおさめいれる蔵)=A地名に甲府∞駿府∞府中∞別府∞防府(ほうふ)∞国府台(こうのだい)∞大宰府≠ネど。
 (53) 「寺 」 土(テ:1・3・4・5の点)と寸(シ:1・2・4・6の点)で表す。字式は土/寸。音読みのジは呉音。熟語に縁切寺(えんきりでら、駆け込み寺に同じ)∞寺子屋∞寺社∞寺男∞寺肴(てらざかな:豆腐)*シ前に寺井∞寺田∞寺坂∞寺門≠ネどがある。
 (54) 「詩 」 第2言偏(エ下がり:2・3・5の点)と寸(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は言偏+寺。音読みのシは漢・呉音。熟語に哀詩∞詩人∞口詩(くし:口で詠ずる詩)∞景物詩(四季の風物を読み込んだ詩)∞作詩∞詩集∞詩吟∞叙事詩∞抒情詩∞自由詩∞散文詩∞即興詩人(アンデルセン作、森鴎外訳の長編小説)∞風物詩≠ネど。

「うか086」
  第47回 学習会 2011年4月16日(土)

 ・レーズライターにて「巴」「三つ巴」「二つ巴」「韓国の国旗」「卍」「逆卍」「邑」の字形を確認。「巴」はハ、ともえと読み巴里≠ヘ和名。
 「邑」はユウ、むらと読み、部首のおおざと≠フ元の形、国構えに巴から変化したもの。
 (55) 「持 」 手偏(テ:1・2・3・4・5の点)と寺(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は手偏+寺。音読みのジは呉音。熟語に維持∞気持ち∞堅持∞固持∞心持∞持主∞手持∞所持∞持参∞持家∞持ち越す∞持ち帰り∞持て余す∞持ち腐れ≠ネど。
 (56) 「待 」 行人偏(ユ:1・2・5・6の点)と寺(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は行人偏+寺。音読みのタイは漢音。熟語に歓待∞招待∞虐待∞待機∞御待遠様(おまちどうさま)∞心待ち待合せ∞待ち草臥れる(まちくたびれる)∞待ち焦がれる∞待ち望む∞待ち人∞宵待草(よいまちぐさ)≠ネど。
 (57) 「等 」 竹冠(チ:1・2・3・5の点)と寺(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は竹/寺。音読みのトウは漢・呉音。名前の読みにとも、ひとし≠ェある。熟語に平等∞不等∞等級∞上等∞下等∞対等∞均等∞等価∞等閑(なおざり:いい加減)∞優等∞劣等=A建物に平等院=A地名に等々力≠ェある。
 (58) 「時 」 日(リ下がり:2・3・6の点)と寺(シ:1・2・5・6の点)で表す。字式は日+寺。音読みのジは呉音。熟語に半時∞一時∞今時∞片時∞往時∞時計∞時価∞時効∞時系列∞常時∞随時∞即時∞臨時∞定時∞同時∞平時∞戦時∞時雨∞小半時∞男時(おどき:運の向いている)∞女時(めどき:ついていない)∞時鳥(ほととぎす)≠ネど。
 ※ ほととぎすの漢字には、不如帰、杜鵑、霍公鳥、子規、杜宇、沓手鳥、蜀魂がある。
 (59) 「年 」 リ下がり(2・3・6の点)とカ(1・6の点)で表す。字式はノ一・ヰ。音読みのネンは漢・呉音。訓読みにとせ≠ェある。上の部分は禾、下の部分は人を表し、収穫物を頭に乗せ舞い踊り祝う様を意味している。熟語に永年∞往年∞享年∞新年∞旧年∞来年∞年輪∞年寄∞年増∞積年∞豊年∞忘年∞成年∞年貢∞万年青年∞万年青(おもと)∞光年(光が1年間に進む距離。約9兆4600億q)=A他に年魚(あゆ)≠ネどがある。
 ※ 魚のあゆ≠フ漢字として鮎、香魚がある。
 (60) 「秒 」 リ下がり(2・3・6の点)と(ソ:2・4・5・6の点)で表す。字式は禾+少。稲穂の先の尖ったところをのぎ≠ニいい、少よりも小の意味合いが強い。音読みのビョウは漢音。熟語に寸秒∞秒速∞秒読み∞秒針∞毎秒∞閏秒(協定世界時との差が大きくならないように加える余分の秒)≠ネどがある。

  第48回 学習会 2011年5月21日(土)

 (61) 「量 」 日(リ下がり:2・3・6の点)と里 (リ:1・2・5の点)で表す。字式は日/一/里。音読みのリョウは漢・呉音。訓読みにかさ=A名前にかず≠ェある。熟語に水量∞推量∞雨量∞積雪量∞運動量∞音量∞度量∞度量衡∞感無量∞感慨無量∞容量∞許容量∞器量∞酌量∞適量∞微量∞裁量∞軽量∞力量≠ネど多数。
 ・「重」と重をパーツとして含む文字3つ。
 (62) 「重 」 3・6の点と里 (リ:1・2・5の点)で表す。字式は千・里。音読みのジュウは呉音、チョウは漢音。名前にしげ≠ェある。熟語にジュウとして重症∞重体∞重役∞重税∞厳重∞過重∞重厚∞重大∞重責∞重鎮∞体重∞鰻重≠ネど、チョウとして貴重∞自重∞慎重∞軽重∞貴重∞尊重∞珍重∞丁重=A訓読みとして紙一重∞重荷∞二重∞幾重∞重ね着∞度重なる≠ネど。音訓で構成された熟語に重箱=i訓音で構成されたものは湯桶読み≠ニいい、手本∞消印≠ネどがある。)、寺院にある五重塔≠ヘ地、水、火、風、空の五大を意味し5層に造った、仏舎利を祀る塔。多層塔で最も多いのは三重塔≠ナある。都道府県の一つに三重県≠ェある。なお重複≠ヘちょうふく、じゅうふく≠フ読みがあるが、じゅうふく≠ナ辞書を引くと意味はちょうふく≠参照と表示される。
 (63) 「種 」 禾偏(ノ:2・3・4の点)と重 (リ:1・2・5の点)で表す。字式は禾偏+重。音読みのシュは呉音。訓読みにくさ≠ェある。熟語に一種∞異種∞各種∞業種∞接種∞雑種∞種別∞言種(いいぐさ、草とも書く)∞語り種(かたりぐさ、草)∞変り種(だね)≠ネど。
 (64) 「動 」 重 (リ:1・2・5の点)と力(ヌ:1・3・4の点)で表す。字式は重+力。音読みのドウは呉音。音読みにやや‐もすれば≠ェある。元は童+力、使役されるものが童で、力は畑を耕す道具を意味する。童のドウの読みがそのまま使われた。熟語に自動∞運動∞能動∞受動∞不動∞反動∞微動∞騒動∞鼓動∞起動∞振動∞始動∞発動∞動産∞動力∞動乱∞動員∞驚天動地∞妄動∞蠢動∞衝動買い≠ネど多数。
 (65) 「働 」 人偏(ナ:1・3の点)と動 (リ:1・2・5の点)で表す。字式は人偏+動。国字。熟語に稼働∞実働∞重労働∞気働き∞只働き∞共働き∞怠け者の節句働き∞労働三法(労働組合法、労働基準法、労働関係調整法)∞労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)≠ネど。

「うか087」
  第49回 学習会 2011年6月18日(土)

 ※ 「貫 (4・5の点とツ:1・3・4・5の点)」をパーツとして含む文字一つ。
 (66) 「慣 」 立心偏(ル:1・4・5の点)と貫(ツ:1・3・4・5の点)で表す。字式は立心偏+貫。子安貝に穴を開け、糸を通して幾重にも重ねたことに発している。音読みのカンは漢・呉音。訓読みにな‐らう、な‐る≠ェある。熟語に慣行∞慣例∞見慣れる∞聞き慣れる≠ネどがある。
 ※ カタカナの「ク」を頭に置いた文字3つ。
 (67) 「負 」 ヌ(1・3・4の点)と貝(オ:2・4の点)で表す。字式はク・貝。クは人、貝は財産を意味する。音読みのフは漢・呉音。訓読みにおい、そむ‐く≠ェある。熟語に負荷(ふか、おいに)∞自負∞背負う∞請負う∞根負け∞御負け(おまけ)∞顔負け∞負け惜しみ∞負け知らず∞負け越し≠ネどがある。
 (68) 「免 」 ヌ(1・3・4の点)と足(2・5の点)で表す。字式はク・^日・ひとあし。音読みのメンは呉音。熟語に減免∞罷免∞免責∞免税≠ネど。
 (69) 「勉 」 免(ヌ:1・3・4の点)と力(ヌ:1・3・4の点)で表す。字式は免+力。音読みのベンは漢音。名前につとむ≠ェある。熟語に我利勉(がりべん)≠ェある。
 ※ 「斤 (4・5の点とオ下がり:3・5の点)をパーツとして含む文字四つ。
 * 斤は斧を象った文字で、旁ではおのづくり≠ニなる。
 (70) 「近 」 しんにょう(ヒ:1・2・3・6の点)と斤(オ下がり:3・5の点)で表す。字式はしんにょう+斤。音読みのキンは漢音、コンは慣用音、ゴンは呉音。熟語にキンは近況∞近辺∞近々∞近隣∞親近感∞最近∞近海∞近距離∞至近∞側近∞近畿=Aコンは右近∞左近=A訓読みに近道∞御近付き(おちかづき)≠ネど、別の読みでは近江(おうみ:琵琶湖)∞近衛(このえ)≠ェある。

  第50回 学習会 2011年7月16日(土)

 (71) 「質 」 斤(オ下がり:3・5の点)と貝(オ下がり:3・5の点)で表す。字式は(斤+斤)/貝。斤は神から神託を受ける意味があり、2つあるのは大きな力を意味している。音読みのシツは漢音、シチは呉音。訓にたち≠ェある。熟語に本質∞形質∞品質∞質素∞良質∞気質(きしつ、かたぎ)∞言質(げんしつ、げんち)∞材質∞資質∞蛋白質∞木質(きだち:木の性質)∞問質す(といただ‐す)≠ネど。
 (72) 「所 」 戸(ト:2・3・4・5の点)と斤(オ下がり:3・5の点)で表す。字式は戸+斤。戸は廟(みたまや)の戸を意味している。音読みのショは漢・呉音。熟語に御所∞場所∞近所∞居所∞所帯∞急所∞所感∞高所恐怖症∞所詮∞長所、短所∞適材適所∞所謂(いわゆる)∞余所(よそ)∞所為(せい)∞関所∞至る所∞詰る所≠ネど。
 (73) 「折 」 手偏(テ:1・2・3・4・5の点)と斤(オ下がり:3・5の点)で表す。字式は手偏+斤。若い草木を刃物(斧)で折るところからきた文字。音読みのセツは漢・呉音。熟語に右折、左折∞折柄(おりがら)∞折込み∞折畳み∞折詰∞菓子折り∞折檻(せっかん)∞手折る(たお‐る)∞圧し折る(へしおる)∞御端折り(おはしょり)≠ネど。
 ※ 「屯 (4・5の点とフ:1・3・4・6の点)」を旁とする文字。
 (74) 「純 」 糸偏(イ:1・2の点)と屯(フ:1・3・4・6の点)で表す。字式は糸偏+屯。音読みのジュンは呉音。名前にすみ≠ェある。熟語に純潔∞純真∞純度∞純白∞純米∞不純∞純裏(ひつら:衣服の表と裏が同じ色のこと。一説には総裏のこと)≠ェある。

「うか088」
  第51回 学習会 2011年8月20日(土)

 4.第1基本文字と比較文字で構成される文字(4)

 ※ 「升 (4・5の点とク:1・4・6の点)」をパーツとして含む文字1つ。
 (75) 「昇 」 日(リ下がり:2・3・6の点)と升(ク:1・4・6の点)で表す。字式は日/升。音読みのショウは漢・呉音。熟語に昇天∞昇り竜£n名に昇仙峡(山梨県)≠ェある。
 ※「丘 (ク:1・4・6の点と4の点)」が含まれる形の文字2つ。
 (76) 「兵 」 丘(ク:1・4・6の点)と八(リ:1・2・5の点)で表す。字式は丘/八。音読みのヘイは漢音、ヒョウは呉音。訓読みにいくさ≠ェある。熟語に番兵∞兵器∞徴兵∞挙兵∞義勇兵∞伏兵∞兵法∞用兵∞大兵(おおつわもの:多数の兵士)∞馬兵(うまつわもの:騎兵)∞騎兵隊/奇兵隊∞尺兵(せきへい:短い刃物)∞兵児帯(へこおび)=@飲兵衛∞名無しの権兵衛=A地名に兵庫≠ネどがある。
 (77) 「浜 」 さんずい(ニ:1・2・3の点)と兵(リ:1・2・5の点)で表す。字式はさんずい+兵。音読みのヒンは漢・呉音。旧字の「濱」の訓はまどろむ≠ニなる。熟語に浜辺∞浜千鳥∞浜茄子∞浜姫(はまひめ:海辺に住む女性。あま)∞墨濱(ぼくひん:隅田川岸一帯の雅称)=A地名に浜松∞浜名湖∞美浜≠ネど、名前に浜田∞高浜∞浜村≠ネど多くある。
 ※ 「斗 (4・5の点とト:2・3・4・5の点)」をパーツとして含む文字1つ。
 (78) 「科 」 ノ木偏(ノ:2・3・4の点)と斗(ト:2・3・4・5の点)で表す。字式はノ木偏+斗。音読みのカは漢・呉音。熟語には科料(かりょう、とがりょう)∞教科書∞金科玉条∞百科∞更科(さらしな)∞山科(やましな)∞保科(ほしな)∞犯科帳(奉行所の判決記録)∞せりふ≠ノ科白と台詞≠ェある。
 ※ 「勺 (4・5の点とモ:2・3・4・5・6の点)をパーツとして含む文字1つ。
 (79) 「約 」 糸偏(イ:1・2の点)と勺(モ:2・3・4・5・6の点)で表す。字式は糸偏+勺。音読みのヤクは漢・呉音。訓にちかう≠ェある。熟語に条約∞確約∞規約∞協約∞婚約∞集約∞約款∞成約∞違約∞解約∞綽約(しゃくやく:姿のしなやかでやさしいさま)∞新約・旧約(聖書)≠ネど。
 ※ 「垂 (2・5の点とニ:1・2・3の点)をパーツとして含む文字1つ。
 (80) 「睡 」 目(メ:1・2・3・4・5・6の点)と垂(ニ:1・2・3の点)で表す。字式は目+垂。形成文字。音読みのスイは漢音。熟語に昏睡∞熟睡=@睡気(ねむけ、一般には眠気)∞微睡(まどろみ)≠ネどがある。

  第52回 学習会 2011年9月10日(土)

 初級編第5回
 6 基本文字 (4)
 発音文字と漢数字
 1. 発音文字とは仮名点字と同じ読みで表される文字

 (1) 「円 」 (エ:1・2・4の点とン:3・5・6の点)で表す。冂(円構え)の中に、上の線の真ん中から短い縦の線、その下に接して両側の縦の線に差し渡すように横線を置いた形の文字。字式はなし。まるい、まろやか、まどか≠ニは角の取れた形、引っかかりがないこと 穏やかな様、障害のない様を表す。熟語には円満∞円周∞円滑∞円蓋(ドーム)∞円盤投げ∞関東一円≠ネど
 (2) 「鬼 」 (オ:2・4の点とニ:1・2・3の点)で表す。大きな頭をした亡霊を象った文字。おにとは死者のこと。あるいはあの世で死者を苛むもの。人力を肥えた力を持って人に害を与えるもの。鬼籍に入るとは人が死んで死者の世界に入ること。熟語には鬼面∞鬼籍∞悪鬼∞幽鬼∞鬼瓦∞鬼の居ぬ間の洗濯
 (3) 「告 」 (コ:2・4・6の点とク:1・4・6の点)で表す。土の左肩にカタカナの「ノ」を置き、その下に「口」を置いた形。白川先生によれば「土」の形は祭壇を象った物。「口」は神様のお告げに従う事を誓う祝詞の入った器を表す。すなわちこの文字は神様のお告げを聞く姿を象ったもの。熟語には告知∞報告∞通告∞忠告∞申告∞広告∞公告
 (4) 「事 」 (コ:2・4・6の点とト:2・3・4・5の点)で表す。計算に使う竹の棒を竹筒に入れて、それを役人が手に持った形を象った文字。「こと」とは出来事や物事と、抽象的な意味を表す。熟語には事実∞事件∞事物∞事象∞事故∞幹事∞監事∞用事∞家事∞俗事∞雑事∞仕事∞出来事∞物事∞荒事∞事始め
 (5) 「生 」 (セ:1・2・4・5・6の点とイ:1・2の点)で表す。漢数字の三の真ん中に縦線を重ねて、上は上の横線から突き出て、下は下の横線で止まる形。上の横線の左肩にカタカナの「ノ」を添えた形。春、土の上に植物の芽吹いた形、生命力の漲った形を象ったもの。熟語には生命∞生気∞生活∞生存∞生誕∞生物∞生産∞発生∞一生∞先生∞一年生∞生け花∞生け垣∞芽生える∞誕生日∞生ビール∞灘の生一本∞生い茂る

「うか089」
  第53回 学習会 2011年10月22日(土)
 (6) 「争 」 ソ(2・4・5・6の点)と(2・5の点)で表す。字式はク・^イン。音読みのソウは漢音。争をパーツとする字に「静」「浄」「箏」などがある。熟語に論争∞争議∞政争∞争点∞付け争う(つけすまう: 馬が人の乗るのを嫌って尻を横へ振り向ける)∞辻争い(つじすまい: 馬が進むのを嫌がる)≠ネどがある。

  第54回 学習会 2011年11月19日(土)
 (7) 「対 」 タ(1・3・5の点)とイ(1・2の点)で表す。字式は文+寸。旧字体の對は板を2枚立て板の間に土を入れ固めるという建築法(版築)。寸は手を意味する。音読みのタイは漢音、ツイは呉音。タイは相対する意味、ツイは二つで一つという意味に使われる。対幻想(ついげんそう)とは男女二人で作り上げる世界。。熟語に応対∞対応∞対面∞初対面∞対策∞対人∞対物∞対話∞絶対∞反対=A地名・人名に対馬、対島(つしま)≠ェある。
 (8) 「拝 」 ハ(1・3・6の点)とイ(1・2の点)で表す。字式は手偏+一・三\|。旧字の「拜」は草花を手折る形で、古代人が若菜を摘む姿が神に向って拝礼する姿に似ていることからおがむ≠ニなった(常用字解)。音読みのハイは漢音。熟語に拝見∞拝謁∞拝復∞空拝み(そらおがみ: うわの空で拝むこと)∞親拝(しんぱい: 天皇自ら参拝すること)∞拝所(うがんじょ: 沖縄地方で神を拝む場所)≠ネどがある。
 (9) 「反 」 ハ(1・3・6の点)とン(3・5・6の点)で表す。字式は雁垂れ>又。雁垂れは反り立った崖、又は右手で、右手で崖をよじ登る形の文字。音読みのハンは漢音、タンは慣用音、呉音にホンがある。熟語に反映∞反射∞反転∞違反∞反感∞反響∞反抗∞反目∞反則∞反復∞減反(げんたん)∞反面教師∞反っ歯(そっぱ)∞外反母趾∞仰け反る(のけぞる)∞反故(ほご)∞反吐(へど)∞二律背反(にりつはいはん)≠ネどがある。
 (10) 「民 」 ミ(1・2・3・5・6の点)とン(3・5・6の点)で表す。音読みのミンは漢・呉音。熟語に移民∞救民∞難民∞庶民∞民芸∞原住民∞植民地∞四民(江戸時代の身分制。士農工商)∞三民主義(中国近代国家の政治理論。民族主義、民権主義、民生主義)

「うか090」
  第55回 学習会 2011年12月17日(土)
 2. 漢数字 (2)
 (1) 「甲 」 漢数符(5・6の点)とコ(2・4・6の点)で表す。字式は田・|(縦線) 音読みのコウは漢音、カンは呉音。熟語に亀甲(きっこう)∞甲殻類∞甲骨∞甲斐性(かいしょう)∞甲斐甲斐しい∞肩甲骨∞甲状腺∞甲種∞甲夜(19時〜21時)=A地名などに甲賀∞甲州∞甲斐(山梨県)∞甲州街道∞甲信越∞八甲田≠ェある。
 (2) 「乙 」 漢数符(5・6の点)とヲ(3・5の点)で表す。音読みのオツは呉音、イツは漢音。熟語に乙甲(おっつかっつ)∞乙姫∞乙張(めりはり)∞早乙女(さおとめ)∞乙夜(いつや・おつや: 21時〜23時)∞乙鳥(つばめ)∞独乙(どいつ)≠ネどがある。
 (3) 「丙 」 漢数符(5・6の点)とヘ(1・2・3・4・6の点)で表す。字式は一・内。音読みのヘイは漢音。熟語に丙種合格(徴兵検査で、兵役に適し、現役に適さない)∞丙夜(へいや: 23時〜1時)≠ェある。
 (4) 「丁 」 漢数符(5・6の点)とテ(1・2・3・4・5の点)で表す。音読みのテイは漢音、チョウは呉音。熟語に横丁∞包丁∞一丁∞一丁前∞丁稚∞丁寧∞丁重(ていちょう)∞丁髷(ちょんまげ)∞沈丁花∞丁半∞丁幾(チンキ: アルコール溶液。ヨードチンキなど)∞吉丁虫(たまむし・玉虫)∞乱丁∞丁夜(ていや:1時〜3時)=A国名などに丁抹(デンマーク)∞亜爾然丁(アルゼンチン)∞拉丁(ラテン)≠ネどがある。

  第56回 学習会 2012年1月21日(土)
 (5) 「戊 」 漢数符(5・6の点)とヒ(1・2・3・6の点)で表す。音読みのボは慣用音、ボウ
として漢音がある。戈はほこがまえ、ほこづくり=B戎(えびす)、我、戒、或、戚、戦など、戊は成、威、感、茂、など多くの文字のパーツに含まれる。熟語の戊辰戦争(戊辰の役)≠P868年で和暦は慶応4年・明治元年。他に戊夜(ぼや: 午前3時〜5時、寅の刻)≠ェある。
 * ほこづくりには「殳」があり、又は右手を意味し、手でほこを持った象形文字。類似したものに「弋」のしきがまえ、式、弌(イチ)弍・弐・貮・貳(各ニ)がある。
 (6) 「己 」 漢数符(5・6の点)とキ(1・2・6の点)で表す。音読みのコは呉音、キは漢音。熟語に一己(いっこ: 自分ひとり)∞利己∞自己中心∞自己流∞自己紹介∞知己(ちき: 知人・友人)∞己惚れ(自惚れ :うぬぼ−れ)=@著名人に植村直己∞塙保己一(はなわほきいち:江戸後期の国学者)≠ネどがある。
 (7) 「庚 」 漢数符(5・6の点)とノ(2・3・4の点)で表す。音読みのコウは漢音。庚申塚≠ニは路傍などに青面金剛を祀ってある塚。青面金剛(しょうめんこんごう)は顔の色が青い金剛童子。大威力があり、病魔、病鬼を払い除く。熟語に長庚(ちょうこう: 宵の明星・金星)=B

「うか091」
  第57回 学習会 2012年2月18日(土)
 (8) 「辛 」 十(ロ:2・4・5の点)と立(マ:1・3・5・6の点)で表す。字式は立・十。音読みのシンは漢・呉音。訓読みにかろうじて≠ェある。熟語には甘辛(あまから)∞唐辛子∞香辛料∞辛口∞辛艱(しんかん: つらいなやみ)∞辛辣∞世知辛い∞命辛々(いのちからがら)∞見辛い(みづら‐い)∞辛夷(こぶし:モクレン科の落葉高木。早春、葉に先立って芳香ある白色六弁の大花を開く。「北国の春」の歌詞に出て来る)
 *「永字八法」:「永」の中に習字の筆跡の八種が含まれている。

  第58回 学習会
 2012年3月17日(土)
 新たな進捗なく内容省略

「うか092」
  第59回 学習会 2012年4月21日(土)

 (9) 「壬 」 漢数符5・6の点とニ(1・2・3の点)で表す。音読みのジンは漢音。熟語は壬申(じんしん)∞壬生(みぶ)∞壬生菜(みぶな:京都壬生原産の水菜)∞壬生艾(みぶよもぎ:ヨーロッパ原産の薬用植物。ドイツから輸入し京都の壬生で試植した)=B人名や地名・寺社名にある。壬生忠岑(みぶのただみね:平安前期の歌人)壬生寺≠ネど。パーツとして多くの文字に含まれる。「任」:責任・委任・任命・担任など多数。→「荏」・「賃」。「妊」:妊娠・妊婦・懐妊など。「廷」:朝廷・廷吏。→「庭」。
 (10) 「癸 」 関数符5・6の点とス(1・4・5・6の点)で表す。音読みのキは漢・呉音。木を組み合わせて台にした形。葵(あおい)揆(き)など他の部首と組み合わせて使われる。

 7 複合文字 (3)
 * 「発音文字」をパーツとして含む文字。
 ※ 「生(セ:1・2・4・5・6の点とイ:1・2の点)をパーツとして含む文字一つ。
 (1) 「星 」 日(2・3・6の点)と生(イ:1・2の点)で表す。字式は日/生。音読みのセイは漢音、ショウは呉音。元は「晶/生」。熟語に巨星∞星座∞図星∞目星∞新星∞占星∞星霜∞軍星(いくさぼし:北斗七星)=@天満星(あまみつほし:天に一面にある星)∞雨夜の星(あまよのほし:極めてまれにしか見られない)∞星影∞星屑∞海星(ひとで)∞星見草(菊の別称)=B作家に室生犀星=B

「うか093」
  第60回 学習会 2012年6月16日(土)

 ※ 「反 (ハ:1・3・6の点)と(ン:3・5・6の点)」をパーツとして含む文字七つ。
 (2) 「仮 」 人偏(ナ:1・3の点)と反(ン:3・5・6の点)で表す。字式は人偏+反。旧字は「假」で、字式は人偏+尸(しかばね冠)・二+コ/又。仮面のこと。音読みのカは漢音、ケは呉音。熟語に仮子(かし:養子)∞仮称∞仮声(かせい:声色)∞仮説∞仮装∞仮住まい∞仮初(かりそめ)∞仮名∞男仮名(漢字)∞女仮名(ひらがな)∞仮説=Bケが付く熟語に仮病∞仮有(けう:(仏)仮の存在)∞仮相(けそう:(仏)仮の姿)≠ネど。
 (3) 「坂 」 土偏(ツ:1・3・4・5の点)と反(ン:3・5・6の点)で表す。字式は土偏+反。音読みのハンは漢音、バンは呉音。熟語に男坂∞女坂∞登坂(とはん)=A地名や人名に多く使われる。大坂∞赤坂∞石坂∞坂本∞いろは坂∞早坂∞向坂(さきさか)≠ネどのほか、小説家に坂口安吾¢蜷ウ時代の棋士に坂田三吉=A歌舞伎俳優に坂田藤十郎=A平安後期の武士坂田金時(さかたのきんとき:幼名、金太郎。源頼光の四天王の一。他の三人は、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武)
 (4) 「阪 」 こざと偏(サ:1・5・6の点)と反(ン:3・5・6の点)で表す。字式はこざと偏+反。音読みのハンは漢音、バンは呉音。熟語に阪神∞京阪(京都と大阪)∞京阪神(京都・大阪・神戸)∞下阪(大阪方面にゆくこと)¥コ和の名優に阪東妻三郎(ばんどうつまさぶろう:ばんつま)≠ネど。
 * 四天王雑学
 ・(仏)四方を守る護法神:持国天(東方)、増長天(南方)、広目天(西方)、多聞天(北方)。
 ・源義経の四天王:鎌田盛政、鎌田光政、佐藤継信、佐藤忠信。
 ・織田信長の四天王:柴田勝家、滝川一益、丹波長秀、明智光秀。
 ・徳川家康の四天王:井伊直政、本田忠勝、榊原康政、酒井忠次。
 ・和歌四天王:@ 南北朝時代の、頓阿、慶運、浄弁、兼好。A 江戸時代の、澄月、慈延、小沢蘆庵、伴蒿蹊。

  第61回 学習会 2012年7月28日(土)

 7 複合文字(3)
 発音文字・漢数字とこれまでに紹介された基本文字によって構成される文字
 ・文章表現に関する考察
 「文語」
 @ 文字で書かれた言語。もっぱら読み書きに用いられる言葉。文字言語。書き言葉。
 A 特に平安時代語を基礎として発達・固定した言語体系。
 「文語体」:文語で綴った文章の様式。文章体。
 「口語」
 @ 話し言葉。音声言語。話に用いる言葉。
 A 話し言葉を基準とした文体の言葉。
 「口語体」:話し言葉を基として綴った文章体。
 「漢文体」:漢文だけの文章体。
 「言文一致」:文章の言葉づかいを話し言葉に一致させること。文章には文語を用いてきたが、明治初期に言文一致運動が起り、二葉亭四迷・山田美妙・尾崎紅葉らが話し言葉に近い文章を作品に試み、その後次第に普及、今日の口語文となる。

 (5) 「板 」 木偏(キ:1・2・6の点)と反(ン:3・5・6の点)で表す。字式は木+反。音読みのハンは漢・呉音、バン・パンは慣用音。熟語に掲示板∞看板∞伝言板∞椎間板∞板魚(ばんぎょ:ヒラメ)∞板挟み∞板前∞豆板醤(トウバンジャン)∞甲板(かんぱん)∞回覧板=A羽子板∞俎板(まないた)=A名前や地名に板垣∞板橋∞矢板≠ネどがある。
 (6) 「飯 」 食偏(セ:1・2・4・5・6の点)と反(ン:3・5・6の点)で表す。字式は食偏+反。音読みのハンは漢音。熟語に飯蛸(イイダコ)∞御飯∞朝飯前∞炊飯器∞早飯∞姫飯(ひめいい:釜で炊いた飯)∞鮨飯∞炒飯(チャーハン)∞飯事(ままごと)=A名前や地名に飯田∞飯塚∞飯岡∞飯盛山≠ネどがある。
 (7) 「返 」 しんにょう(ヒ:1・2・3・6の点)と反(ン:3・5・6の点)で表す。字式は、しんにょう@+反。音読みのヘンは慣用音、ハンは漢音、ホンは呉音。熟語に返答∞返還∞返歌∞返品∞恩返し∞裏返し∞見返す∞若返り∞巻き返す∞混ぜ返す≠ネど、江戸時代の作家に十返舎一九≠ェいる。
 (8) 「版 」 片偏(ヘ:1・2・3・4・6の点)と反(ン:3・5・6の点)で表す。字式は片偏+反。音読みのハンは漢・呉音。元々は木の板を表わしていた。熟語に版画∞木版∞改版∞瓦版∞決定版∞版権∞版築∞凸版≠ネどがある。
 ※ @ 「版権」:福沢諭吉によるcopyrightの訳語。著作権者に属する権利として1875(明治8)年に法定化、99年の著作権法制定により法律上は廃語。
 ※ A 「版築」:土壁や土壇の製造法。板で作った枠の中に土を流し込み固める。
 
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