東京漢点字羽化の会学習会報告

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「うか」069
  第15回「学習会」2008年6月21日(土)
  レーズライター:協、直、朝、世、葉、古、苦、枯

 学習内容
 ・十(2・4・5)を部首として含む文字。
 27「朝 」 十と月(2・6)で表す、左側の日の部分は省略。音読みのチョウは漢・呉音。右側の月はいわゆる月≠ナはなく、一日の始めのあさ≠意味する。朝礼∞朝令暮改∞来朝=iらいちょう)朝鮮∞朝顔≠ネどがある。

 ・世(十≠Q・4・5とよ≠R・4・5)とそれを含む文字。
 28「世 」 音読みのセイは漢音、セは呉音。訓読みのよ≠フ熟語として世継=iよつぎ)、御世=iみよ)、浮世=iうきよ)などがあり、音読みのセイ、セは世紀∞治世=A世代∞出世≠ネど多数ある。
 29「葉 」 草冠(1・4・6)とよ≠ナ表し、木の部分は省略。世≠ヘ枝を意味し、木の枝に葉が生い茂っている姿を象った形(常用字解)。音読みのヨウは漢・呉音。葉のつく熟語は多数あり、他に胚葉=iはいよう)、紅葉∞黄葉=iこうよう)、言葉=iことば)、葉隠れ=iはがく‐れ)などがある。葉書≠ヘ、葉に文字を書いたことから現在にいたっている。

 ・古(口≠P・2・4・5と十)とそれを含む文字。
 30「古 」 音読みのコは漢・呉音。古今和歌集=i最初の勅撰和歌集。紀貫之他3名の撰により約1100首の歌を収録、905又は914年頃完成)で古事記=i日本最古の歴史書、3巻から成り、712年完成)、日本書紀=i日本最古の勅撰の正史。720年完成)に次いで作成が明確なもの。
 31「苦 」 草冠と十で表し、古の口の部分を省略。音読みのクは呉音、コは漢音。コを用いる熟語には苦悪=iこあく:道具などが粗末で出来の悪いこと)苦器=iこき:ごつごつして出来の悪い道具)がある。
 32「枯 」 木偏(1・2・6)と十(口は省略)で表す。音読みのコは漢・呉音。
 33「湖 」 さんずい(1・2・3)と月(1・5)で表し、古は省略。音読みのコは漢音。「古」と「月」でできた胡≠ヘ年老いてくるとあごの下が伸びてダラーンとした様子(常用字解)。山間で起きた地震の土砂崩れにより川の流れの機能を無くし、水をせきとめ溜まってできたもの(堰止湖)が湖の元の意味。湖面∞湖月=iこげつ)湖上=iこじょう)などがある。

 ・ナの形を十の形と見て、その右下に部首の入る文  字三つ。
 34「有 」 十と月で表す。この場合の月は肉≠フことで、神に供えることをいう。音読みのユウは漢音、ウは呉音。熟語として有様=iありさま)、有名∞有望∞有能∞未曾有=iみぞう)などがある。
 35「存 」 十と子(2・4・6)で表す。子を手で囲って守る(常用字解)。音読みのソンは漢音、ゾンは呉音。存在∞実存≠ネどがある。
 36「在 」 十と土(1・3・4・5)で表す。場所的要素を持ったもの。音読みのザイは呉音、サイは漢音。熟語に、所在∞実在∞不在∞点在∞在中∞在宅≠ネどがある。在原業平(ありわらのなりひら:825〜880)という平安初期の歌人がいた。「伊勢物語」の主人公と混同され、伝説化された。


  第16回「学習会」2008年7月19日(土)
  レーズライター:湖、有、存、在、門、聞、間、問、開、閉、回、国

 学習内容
 ・門(2・3・4・5・6)構えのある文字。
 37「聞 」 門構えと耳(1・2・3・5・6)で表す、音読みのブンは漢音、モンは呉音。「耳」は神のお告げを聞く。「門」は神を祭る廟であとから付けたもの。熟語の聞酒(ききざけ)は利酒がある。見聞、前代未聞など。
 38「間 」 門構えと日(2・3・6)で表す。日の部分は元々は月=i肉)で、廟に肉を供え、門が開くかをみた。幅広く使われる。音読みのカンは漢音、ケンは呉音。間に付加した字に、燗
、簡 、澗 、繝 (カン)。熟語に間髪(かんぱつ)∞間伐(かんばつ)∞世間(せけん)≠ネどがある。
 39「問 」 門構えと口(1・2・4・5)で表す。口はサイで祝詞を入れる器。熟語に慰問(いもん)∞自問自答(じもんじとう)≠ネどがある。
 40「開 」 門構えと廿あし(2・3・4・5で廿 ≠フ下の開いた形)で表す。二本の手で押し開く形を象っている。音読みのカイは漢・呉音。熟語に開花∞開化∞開拓≠ネどがある。
 41「閉 」 門構えと才(2・4・5、ロ)で表す。神々が伝わって降りてくる木に印をつける(白川先生説)。音読みのヘイは漢音。熟語に幽閉(ゆうへい)∞閉塞(へいそく)≠ネどがある。開閉はトで開き、ロで閉じるとなる。

 *国構え(2・3・5・6“レ下がり”)の文字四  つ。
 42「回 」 国構えと口(1・2・4・5)で表す。水の淵にできた渦の形からきた文字。本来の国構えの意味はない。回の異体字に囘≠ェある。音読みのカイは漢音、エは呉音。エのつく熟語は回向(エコウ)≠ナ仏教用語。熟語に迂回∞巡回∞旋回∞回心∞回診∞回帰≠ネど多数ある。
 43「国 」 国構えと玉(1・2・3・4・6)で表す。オン読みのコクは漢・呉音。国の旧字は「國 」。江戸時代に水戸の徳川家に「光圀 補(みつくに)」が生存。熟語に万国∞母国∞祖国∞外国∞国力∞国宝∞国分寺≠ネど多数ある。


「うか」070
  第17回「学習会」2008年8月16日(土)
  レーズライター:固、個、兄、見、介、先、祝、兌、説、税、覚、視、界

 学習内容
 ・固 (囗構え2・3・5・6;古2・4・5)とそれを含む文字
 44 「固 」音読みのコは漢音、クは呉音。クのつく熟語は広辞苑では掲載なし。訓読みの「かた‐い」と同訓の文字に硬い∞堅い∞難い≠ェある。他の訓読に「もと‐より」もある。古≠ヘ十(盾)と口(サイ)で器の上に置くことで神を守る誓いとした意味でいわゆる古いではない。テキストの古く固い頭蓋骨を四角い枠の中に押し込めた形≠ヘ語釈。他の熟語に固定∞地固め∞凝固∞断固≠ネどがある。
 45 「個 」人偏(1・3)と囗構え(2・3・5・6)で表す。古の部分は省略。音読みのコは漢・呉音、コは慣用音(唐音)。クの読みは不明。元の意味は人一人。熟語に個展∞個別∞個室∞個条(カジヨウ)≠ェある。
 *元 (1と2・5)の儿(ひとあし)(2・5)の付いた文字
 46 「兄 」 口(1・2・4・5)と儿で表す。口はサイでサイを膝まづいて捧げる形を象ったもの。家の長男で家を継ぐ宿命を持つ(常用字解)。音読みのケイは漢音、キョウは呉音。訓読みはえ∞あに∞せ=B賢兄∞大兄(おおえ、おせ)∞同母兄、同母姉(いろえ)∞吾兄(あせ)¢シに従兄弟・従姉妹(いとこ)≠ネどがある。
 47 「見 」 目(1・2・3・4・5・6)と儿 で表す。音読みのケンは漢音、ゲンは呉音。訓読みのまみ‐えるは人に会うこと。熟語には発見∞所見∞見当∞後見(こうけん、うしろみ)∞一見(いちげん、いっけん)∞拝見∞花見∞月見∞見世物∞風見(かざみ)≠ネど多数ある。
 48 「介 」 ひとやね(4・6)と儿 で表す。ひとやねは人ではなく、鎧を意味し、人が鎧をつけた様子を表す。元々は隔てるという意味合いがある。音読みのカイは漢音、ケは呉音。熟語には介然(かいぜん)(孤立しているさま、しばらくの間など)∞御節介(おせつかい)∞厄介(やつかい)∞介抱∞介爾(けに)(非常に微弱なこと)≠ネど。訓読みのすけは名前に用いる。
 【字式】(常用字解)
 「兄」口・儿 「磨」麻>石 「回」囗>口  「安」宀/女 「林」木+木 「森」木/木+木=@「聞」門>耳 「摩」麻>手 「回」囗>口  「国」囗>玉 「見」目・儿 「崎」山+奇


「うか」071
  第18回「学習会」平2008年9月20日(土)
  レーズライター:栄、労、加、賀、化、花、貨、信

 学習内容
 49 「先 」ツ(1・3・4・5の点)と儿(ひとあし、ただし、3・6の点)で表す。上の部分はノと土からなり、止めるからきたもので、足先が元の意味。音読みのセンは漢・呉音。字式は、土・儿(ひとあし)。他の熟語は、先生∞先般∞機先∞優先∞先輩∞先約≠ネど多数ある。
 * 時枝国語学(時枝誠記国語学者)によると、日本語は詞(シ:変らないもの)と辞(ジ:変化するもの)の二種類で成り立つ。「花が咲く」という場合は「花」「咲」が詞、「が」「く」が辞となる。辞は、仮名でしか表せない。
 50 「祝 」 示偏(1・2・3・4の点)と儿(ひとあし、2・5の点)で表す。口の部分は省略。兄が部首として含まれる文字。音読みのシュクは漢・呉音、シュウは漢音、シュとして呉音がある。字式は、ネ+兄。他の熟語に祝意∞慶祝∞祝言(しゆうげん)∞祝儀(しゆうぎ)≠ネどがある。
 参考 「兌」兄の上に八を置いた文字。音読みのダは慣用音、タイは漢音、ダイは呉音。「悦」や「脱」の原字。穴から出るという意味があり、いわゆる兄とは異なる。2・5の点で表す。

 * 兌が部首として含まれる文字二つ。
 51 「説 」言偏(エ:1・2・4の点)と兌(2・5の点)で表す。音読みのセツ・エツは漢音、セイは漢・呉音、セチ・エチは呉音。訓読のよろこ‐ぶ、よろこ‐ばしいは漢文で使われる。熟語に説話∞説法∞説諭∞説教∞力説∞定説∞風説∞伝説∞仮説∞遊説(ゆうぜい)∞説士(ぜいし)(遊説の士)∞説服(エップク:喜んで服従する)≠ネど多数ある。
 52 「税 」禾偏(ノ、2・3・4の点)と兌(2・5の点)で表す。音読みのゼイは慣用音、セイは漢音、セは呉音。熟語に税収∞租税∞課税∞税関∞主税(ちから)(人名に使われる)≠ネどがある。

 * 見 を部首として含む文字二つ。
 53 「覚 」ツメ冠(3・6の点)と見で表すが、儿(ひとあし)の部分は省略。音読みのカクは漢・呉音。字式は、ツメ冠/見。熟語に自覚∞不覚∞視覚∞聴覚∞臭覚∞味覚∞触覚≠ネどがある。
 54 「視 」示偏(ネ:1・2・3・4の点)と見で表すが、儿(ひとあし)の部分は省略。音読みのシは漢音。字式は、ネ+見。訓読みのみ‐る≠ノは他に「見」「観」がある。熟語には視察∞視界∞透視
正視∞蔑視∞無視≠ネどがある。
 「み‐る」の見は自然に見えてくる、視は見ようと思うという意思を持つ。
 55 「界 」介を部首とした文字で、田(1・3・5の点)と介(2・5の点、ひとやねの部分は省略)で表す。耕作地に境を付け、区画し離すという意味を持つ。音読みのカイは漢・呉音。熟語には租界∞業界∞政界∞財界∞下界∞限界∞三界∞界線∞境界∞実業界≠ネどがある。


  第19回「学習会」平成20年10月25日(土)
  レーズライター:恋、芸、会、絵、伝、転、秋、畑

 学習内容
 * ツメ(ツワ)冠(3・6の点)の文字2つ。
 56 「栄 」ツメ冠と木(キ:1・2・6)で表す。旧字は「榮」で、篝火を焚いている姿でこうこうと篝火を焚けるのは豪族・権力者となり、さらに栄えにぎわうことからきている。音読みのエイは漢音、ヨウは呉音。熟語に栄転∞栄誉∞光栄∞富栄∞虚栄=Aヨウの使われ方として栄西(ようさい)(エイサイとも)日本臨済宗の祖、京都に建仁寺を建立、宋より茶種を持ちこみ茶の栽培を広めた。¢シの語として弥栄(いやさか)∞栄螺(さざい)≠ェある。
 57 「労 」ツメ冠と力(ヌ:1・3・4)で表す。旧字は「勞」で、「力」は農具の耒(すき)からきた。農業で困るのは自然災害と虫の害があり、社の前で焚火をたき耒をあぶり祈りを捧げて農作業を行うことからきている。音読みのロウは漢・呉音。訓読みにはつか‐れる∞ねぎら‐う≠ニ反対の意味に使われる。熟語には労使∞労役∞慰労∞心労∞足労≠ネどがある。

 * 加とそれを含む文字。
 58 「加 」力(ヌ:1・3・4の点)と口(ロ:1・2・4・5の点)で表す。力は耒、口は神のお告げを聴く祝詞を入れる器(サイ)を指す。耒と祈りで神に良いことが起こるように祈るという意味。音読みのカは漢音、ケは呉音。熟語に加工∞加味∞加齢∞加担∞付加∞追加∞倍加∞添加∞増加≠ネどがある。ケとしては四度(しど)加行(けぎよう)(密教における4種の修行。十八道法、金剛界法、胎蔵界法、護摩法。)がある。字式は、力+口
 59 「賀 」加(ヌ;1・3・4の点)と貝(オ下がり;3・5の点)で表す。貝は貨幣を意味し、価値の基準となる。音読みのカは漢音、ガは呉音。熟語に賀正∞参賀≠ネどと、地名・姓名に伊賀∞甲賀∞浦賀∞横須賀∞賀川(かがわ)∞賀茂(かも)∞賀陽(かよう)≠ネどがある。字式は、加/貝。

 * 化とそれを含む文字。
 60 「化 」 第2人偏(4・6の点)と匕(4・5の点)で表す。常用字解では、人が死んで骨になるまでの変化(元は逆さまに横たわった二人の姿)とある。人間は自然界の理不尽(暴力)によって死に至り、死者は生存者の暴力になる。その害が及ばないようにするため、葬儀を行う。音読みのカは漢音、ケは呉音。熟語に化工∞同化∞開化∞俗化∞沃化∞消化∞退化=Aケ・ゲとして化身(けしん)∞権化(ごんげ)≠ネどがある。字式は、人偏+ヒ。
 61 「花 」草冠(ク;1・4・6の点)と化で表すが、化の人偏の部分は省略。音読みのカは漢音、ケは呉音。熟語には花弁∞花押∞花札∞花柳界∞開化∞造花∞梨花∞雄花∞雌花=Aケとしては花香(けこう)∞花籠(けこ)¢シの字として紫陽花(あじさい)
女郎花(おみなえし)∞無花果(いちじく)∞金鳳花(きんぽうげ)∞一花草(いちげそう)∞花魁(おいらん)∞花車(きやしや)≠ネど多数ある。字式は、草冠/化。
 62 「貨 」貝(オ下がり、3・5の点)と化で表すが、化の人偏の部分は省略。貝は元はおかねで商品や財産といった豊かなことを表す。熟語には百貨∞雑貨∞外貨∞良貨∞悪貨∞硬貨∞金貨∞銀貨∞銅貨≠ネどがある。字式は、化/貝。

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